腕神経叢損傷と神経再建

2016年8月1日(月)

明日、筑波大学病院を無事に退院することになりました。そこで、今回の神経損傷と再建手術の内容について整理してみました。


最初の診断書で「左腕神経叢損傷」とありました。
今回の手術でも「腕神経叢展開」とあります。
「叢(そう)」とは草むらのことだそうです。
つまり左腕を司る神経が、草むらのようにたくさん集まった場所を指すそうです。

草には根っこがあります。
神経の根っこは首や背骨にあります。
脳から束になった神経が背骨の中を下りてきて、骨の隙間から目的の場所へと枝分かれして伸びていきます。

腕神経叢は、首の部分の脊髄から出て来る第5頚神経(C5)から第8頚神経(C8)の4か所と、第1胸神経(T1)の計5か所を根っこにしています。

5つの根っこは最初に3つの幹にまとまり、絡まりあいながら、大きくは3つの束になります。
そして3つの束から、また別れたりくっついたりして、腕や手を動かす5つの神経へと別れていきます。

今回、自分の場合はC5とC6が引き抜けてしまったそうです。


見ても分かる通り、C5とC6は肩を動かしたり肘を曲げる(支える)ための神経の出発点なので、肩と肘が動かなくなった訳です。ただ、肘を伸ばす筋肉はC6からC8の配下なので 、肘を曲げられなくても伸ばすことができるのは、そんな理由からですね。

それにしてもC5とC6って、かなり広範囲にかかわっていることに驚きました。

茎の途中で折れたのなら、そこでつなぎ直すことも出ますが、根っこから抜けてはどうしようもありません。 もう元には戻せません。

そこで考え出されたのが、神経移行という名の「接ぎ木」です。

根っこの残っている神経の枝を借りて、根っこの抜けた神経へ神経移行するのだそうです。
これで神経が通いだせば、また筋肉も動き出すということです。

今回は尺骨神経一部移行術(オバーラン法)で、尺骨神経の一部を筋皮神経に持って行って、上腕二頭筋を復活させるのと、副神経移行術で僧帽筋まで行っている副神経を肩甲上神経につないで棘上筋を動くようにするのが目的です。

神経が通いだすまで数か月の時間がかかるそうですが、うまく通いだせば、ある日とつぜん、ピクリと反応するそうです。

そうなれば腕が動くようにリハビリをすることになりますが、リハビリにはサイバーダインのHALを使うそうです。それはそれで今から楽しみです。

不幸にも反応が起きない場合は、別の再建方法を検討することになります。

それから手術メニューに、腕神経叢展開とありましたが、これは損傷を実際に目視で確認したそうです。これまでの検査で「引き抜き」であるこことは、ほぼ間違いなかったのですが、やはり抜けているのが確認できたそうです。

副神経移行も同じく首のところで施術したそうです。

尺骨神経部分移行というのは脇の下です。

術中電気診断というのが、前日に行った電極カテーテルを使っての診断です。

尺骨頭切除は、曲がってくっついた尺骨の頭を切除したようです。

橈骨が粉砕骨折で短くなったしまったので、尺骨が長くなってしまった結果、曲がってきてしまったようです。これにより手首のくるぶし(尺骨茎状突起)が飛び出してきたうえに、手首の回転を妨げるということで、プレートをはずして、骨折部分から尺骨頭を切除したそうです。

手首を支えているのは橈骨なので、尺骨は切っても差し支えないということです。
また、頭がなくなってしまった尺骨は、尺骨に沿って走る腱に結び付けてあるらしいです。

それに橈骨のプレートも背側側は抜いたしまったとのことです。

橈骨の粉砕骨折は未だ粉々で、尺骨は途中でちょん切ってって、、、なんか、外科手術って聞けば聞くほどすごいですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿